自分にしか作れない作品を求めて

自分にしか作れない作品を求めて


仕事は好きですか?
そう聞いてみた
「もちろん好きだけど、お金を稼ぐための手段」
「プロであって、趣味ではない」
そう言うと、止まる事なく作業を続ける
1200°Cを超えたガラスは、作者の意思と
違う方向に歪んでしまう
ガラスを意のままに動かすには
止まる事なく作者が動き続ける

人のこと

福岡県飯塚市に吹きガラス工房を構える
斉藤達也さん
20代でホテルマンを目指して
北海道に向かうも
機運な巡り合わせから
沖縄で琉球ガラス工房に弟子入り志願する事に
しかし、弟子入りを許されたのは
その2年半後の28歳

仕事のこと

戦後の沖縄では、原料が取れなかったため
アメリカ軍が持ってきた
ビール瓶などのガラスを再利用して作られた
再生ガラスが生まれ
それが琉球ガラスと呼ばれるようになった


膨らむ前の熱されたガラスは
小さな宇宙のよう
空気を吹き込み、ガラスは宇宙のように膨らむ
粒立った光は夜空の星のように輝く

熱されたガラスを見つめる
作者が想像する形に近づけるために
しかし、ガラスは生き物のように形を変えていく
頭で想像する形にするために
指先に神経を集中させる
職人の仕事は
意図しない形になればそこで失敗になり
ガラスは廃棄される
斉藤さんは
そういったガラスを捨てる事はせずに
その形をいかし、ガラスに命を吹き込んでいく
思い通りにいかない事を楽しむように

思えば、はじめて工房を訪れた時
茜染めについて話を聞いた
日本で最も古くから使われている赤系の染料
日の丸の赤に使われる色


「茜染めがうまくガラスに定着しない」
その事をとても楽しそうに話していた

全て自分で完結する仕事がしたい

職人さんの現場は意外と流れ作業の工場のようで
いくつかの作業を職人が分担してをおこなう
1・下玉をとる
2・重ねて生地を巻く
3・デザインをつける
4・吹いて形を整える
5・ポンテをつける
6・炙り口を開く
多くの工程を分担する事によって
人が育ち、品質も保たれる

ただ、一人の工房であれば
もちろん全て一人で作りあげる
大変な部分ももちろんあるはずだが
1から10まで全て自分の責任で作り上げ
完成させる事が楽しいと語る


多くの作業を一人で完了するため
機械のように全ての工程を完了していく
使った道具をもとの位置に戻す
不要な物は一つもなく
所作の全てに無駄がない
一つの仕事を突き詰めてきた職人の動きを感じた


この先琉球ガラスはどう変わっていきますか?
「器は物を入れる。
それ以上変わる必要のない物」
きっとガラス作りは昔から大きく変わってはいないのかもしれない
同じ事を繰り返す事で
職人の動きは無駄がなくなり
洗練された動きへ変化していく

 

眼鏡日和・片山正太郎写真館

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA